インハウスリスティングの本質的な問題点。成功する企業の条件

ひと昔前ですが(2012年~2014年位でしょうか)リスティング広告のインハウス運用という言葉を業界内でよく聞く時期がありました。
ここ最近はインハウス運用を試みる企業が一巡した感があり、ぼちぼちと成功例、失敗例が挙がってきています。
筆者が担当している広告主にも、代理店に発注するべきか自社で運用するべきか、といった相談を受けることも多くありますし、また実際にインハウス化の支援を行い、失敗した例、成功した例、共に経験してきました。

我々の経験上、皆様が思っているよりも運用型広告・リスティング広告をインハウスで行うのは難しいと考えています。
「代理店に支払う手数料の金額が大きいので、人を雇って自社で運用したほうが得だ」と考えるのは自然なことかと思いますが、そういったコスト圧縮だけを目的として安易にスタートしたインハウス化のプロジェクトはなかなかうまく進まない場合も多いのが実情です。
本記事では、今まさに自社リスティングをインハウス化するべきか検討している方へ向けて、インハウス化と代理店運用のメリット・デメリットを紹介すると共に、あなたの会社がインハウスに向いているか向いていないかについて、解説していきたいと思います!

目次
1:インハウス運用のメリット
2:インハウス運用のデメリット
3:代理店運用のメリット
4:代理店運用のデメリット
5:インハウス運用と代理店運用。結局どっちがいいの?
6:インハウス運用の問題点|運用担当者のキャリアステップ
7:リスティング広告のインハウス運用に向いているケース
8:まとめ

1:インハウス運用のメリット

ざっと思いつく限りインハウス化のメリットを挙げてみますと、以下のような内容が考えられます。

[インハウス運用のメリット]
■手数料が掛からず、その分広告予算を上乗せできる
■少額の予算でも運用を始めることができる
■金額の大小に限らず(自社だから)真面目に運用できる
■広告のノウハウが自社に貯まっていく
■自社のサービスやターゲットについて深く理解している

上記のメリットですが大きく3つにまとめることができると思います。
1つ目は「代理店手数料を節約できる」こと。
2つ目が「自社にノウハウが貯まる」こと。
そして3つ目が「自社について十分に理解のある人が運用する」ことです。

メリット1:代理店手数料の節約

1つ目のインハウスのメリットとして、一番分かりやすいポイントは「手数料が掛からない」という点でしょう。
多くの場合、広告予算に対するパーセンテージで代理店の手数料が決まっていますから、特に月額数百万円から数千万円レベルの大きな予算をリスティング広告に投下している広告主の場合は、代理店に支払う手数料が数十万円~数百万円と非常に大きな金額になります。

そうなると、その分の費用を浮かせて媒体費として使ったらもっと成果があがるのでは…、自社で人を雇って運用したら販管費を圧縮できるのでは…と事業者が考えるのは自然なことだと思います。
さらに他方で予算がそれほど大きくない広告主にとっては、代理店が定めている最低出稿金額などの縛りによって、少額の金額から試しにくいという問題があります。
代理店を通す場合は、最低出稿30万円~など金額が定められているケースが多いため、「最初は上手くいくかわからないし、とりあえず2、3万円程度の少額予算で始めたい」という会社は、そもそも自社運用から始めるしか選択肢がない場合も考えられます。

メリット2:自社にノウハウが貯まる

リスティング広告の運用には、マーケティングの知識・アドテクノロジーの知識・媒体の知識・業務効率化の知識・クリエイティブの知識などなど、多岐にわたる知識を横断的に身に付けている必要があります。
さらにそれぞれの広告主によって、売れる商材・売れない商材・商品の入れ替え・キャンペーンなど、広告主固有の情報がありますから、運用を継続すればするほど、それぞれの広告主の運用について習熟し、結果として成果があがりやすく、かつ業務も効率化されていきます。
代理店に発注をしていると、こういったリスティング広告のノウハウが自社内ではなく、発注先の代理店に貯まってしまうという点は事業主が気にするポイントかと思います。

もし、リスティング広告の運用を社内メンバーが担当し、自社内で完結させることができれば、リスティング広告の運用ノウハウとその習熟度の向上による成果UPの恩恵を受けることができます。
また、代理店の担当者の変更や代理店をリプレイスする際など、社外にアウトソースする場合のリスクをカバーすることができますから、可能であれば社内で運用を完結したいと考える事業主も多いのではないでしょうか。
しかし、仮にインハウスで運用したとしても、ここでいう「ノウハウ」は、企業に貯まるものではなく人に貯まるものだ、という点は注意が必要です。

メリット3:自社について十分に理解のある人が担当する

リスティング広告の掲載内容や運用調整、社内の方向調整等々を行うにあたり、それぞれの広告主のとって特殊な対応を迫られることがあるかと思います。
例えば、商品在庫との連携やキャンペーン期間の調整、商品特性の理解、社内報告用の資料作成など、スピーディな情報共有や社内ルールに則った対応をする必要があるものなど、社内にしかない情報というのはどこの事業主にも存在するかと思います。
代理店に頼んでいると、これらの情報は抜け漏れなくしっかりと代理店に伝える必要があり、代理店とのコミュニケーションに大きなコストがかかってしまいます。一方でもし社内メンバーが担当していたら、「あれ、やっといて!」で終わるかもしれません。(もちろん自動化で対応できる範囲もあります)
また、このような情報共有・コミュニケーションの問題解決に加え、より本質的なポイントとしては、商品とそのマーケットについての理解が挙げられるかと思います。

例えば、「検索ユーザーが何を求めていて、どういったキャッチコピーを見せたらユーザーが反応するのか。」というのは、リスティング広告の運用者として最も基礎的なスキルではありますが、代理店の担当者よりも、自社商品や自社のマーケットについて、必死で知恵を出している事業主の方が、自社商品とターゲットの特性についてはより深く理解しているのではないでしょうか。
筆者は以前とある事業主に提案した広告文について、広告主から以下のような意見を頂いた事があります。

「『◯◯』というキーワードを検索したユーザーは、『◯◯』そのものを欲しているわけではなく殆どのユーザーが『△△△』という別のニーズを持っている。
だから『◯◯』というキーワードを検索したユーザーに掲載する広告文には『◯◯』ではなく『△△△』という文言を含む広告文を掲載したい」
※KW・業界が非常に特殊ですので、特定を防止するため業種やキーワードそのものについては伏せさせていただきます。

いかがでしょうか。
リスティング広告のセオリーからすると、これはNGです。
広告文には検索キーワードを含めましょうというのが基本的なセオリーの1つですし、我々もほぼすべての事業主におすすめしています。
もちろんこの時、わたしは検索キーワードが含まれている広告文のほうが絶対に良いと主張しました。
結局どちらの広告文も掲載しA/Bテストを行ったのですが、結果は歴然でした。
事業主が主張していた検索キーワードを含めない『△△△』を入れた広告文が圧倒的に高いクリック率を叩きだしたのです。
このケースでは、筆者と事業主の間で十分なコミュニケーションが取れていたため、検証を経ることで最終的にはもっとも良い選択肢を取ることができましたが、商品やターゲット・マーケットそのものについて、十分に理解をしていることが広告の成果についてプラスに働くことも十分ありえます。

2:インハウス運用のデメリット

デメリットについても、ざっと思いつくことを挙げてみます。

[インハウス運用のデメリット]
■広告に関する予備知識がないとスタートするだけでも大変
■最低限、1人は運用担当者が必要になる
■最初は検証するための投資が必要(いきなり成果は望めない)
■そもそもノウハウがないと失敗する可能性が高い
■媒体によって代理店アカウントしか受けられないサービスがある
■データを正しく分析できる人間がいなければいつまでたっても改善されない

これらのデメリットですが、大きく分けると以下の2つにまとめることができると思います。
1つ目は、「人員配置によるコストがかかる」こと。
2つ目に「ノウハウが蓄積されるまでに試行錯誤と時間投資が必要になる」ことが挙げられます。

デメリット1:人員配置によるコストがかかる

リスティング広告を社内で運用するためには、従業員の担当をつけるか、経験者を中途採用し担当者とする必要があります。
少額の予算で行う一時的なキャンペーンなどであれば、別の業務を行っている従業員でも、ある程度リスティング広告の知識がある人であれば、片手間で運用することもできるかもしれません。
しかし、定常的に予算を投下し、しっかりとPDCAをまわしていきたい場合は、運用専業の担当をしっかりと配置する必要があるでしょう。

担当者をつけるにあたって、一番手っ取り早い方法はやはり経験者を中途採用することかと思います。
しかし、そもそも業界全体で深刻な人材不足である昨今の状況から、そう簡単に運用型広告の経験者を採用することは難しいことでしょう。
とくに代理店で運用担当者としてバリバリ働いてきた人たちは、転職の際には非常に高額な年収を掲示する企業が多く、人材の取り合いが激しい業界です。
また、「リスティング広告の運用という職種からジョブチェンジしたい。」と考える人も多いため、中途採用で経験者を獲得するには非常に高額なコストがかかる事になります。

デメリット2:ノウハウが蓄積されるまでに試行錯誤と時間投資が必要になる

経験者はなかなか採用できない。となると、未経験でもスジが良さそうな若者を採用して育てるか、あるいは社内の人員の中から運用担当を任命するという方法に落ち着くのではないでしょうか。
この場合は、みなさんが想像するよりも遥かに多くの時間投資が必要です。
せめてそのプロジェクトを担当するマネージャーにリスティング広告の運用経験があれば良いのですが、そういった恵まれているケースは非常に稀でしょうから、未経験のメンバーが書籍や外部のセミナーなどに参加することで勉強し、試行錯誤をしながらリスティング広告を運用し、効率よく成果をあげるための手法を時間をかけて作り上げていくというプロセスを経ることになります。

運用経験がある方なら分かるかと思いますが、媒体の知識を理解しているだけでは、リスティング広告は運用できません。
マーケティングの知識・アドテクノロジーの知識・媒体の知識・業務効率化の知識・クリエイティブの知識など幅広い知識と経験が求められます。
仮に新人をゼロからトレーニングをして、十分ひとりでリスティング広告を運用できるようになるまでには最低でも1年か、あるいはそれよりもっと長い期間が必要になります。
もちろん個人の資質や求められる業務レベルにもよりますが、十分な媒体知識を持ちながら自身でPDCAを回すことができるレベルの人員に育て上げるのには多くの失敗と時間が必要です。

3:代理店運用のメリット

それでは他方で、代理店に運用をお願いした場合はどうなのでしょうか。
代理店運用の場合のメリット・デメリットを簡単にまとめます。

[代理店運用のメリット]
■運用に関わる業務・作業を丸投げできる
■過去実績やノウハウがあるため検証に掛かる時間や費用が削減できる
■新しい情報や運用ノウハウが集まるため運用効率が高い
■媒体によっては新メニューなど代理店アカウントだけの特典が受けられる
■媒体から代理店担当がついてトラブルが起きた際もスムーズに対応してもらえる
■広告以外の面でも相談に乗ってもらえる

これらの代理店運用のメリットは大きく3つにまとめることができそうです。
1つ目が「成果が出るまでの時間が早い」。
2つ目が「媒体社とのつながりが強い」。
そして3つ目が「自社の手間が省ける」という3つです。

メリット1:成果が出るまでの時間が早い

代理店運用の場合のメリットとして一番わかりやすいのは、無駄な時間やコストを掛けずに、効率よく成果を得られる可能性が高いという点です。
代理店では、リスティング広告の運用について既に多くの失敗を含めた試行錯誤がなされており、各社に展開できる汎用的な運用ノウハウが十分貯まっていますから、入稿作業やレポート集計作業1つとっても、かかる時間や正確性は圧倒的に代理店が上でしょう。

例えば経験の少ない従業員がリスティング広告をはじめて掲載しようとしたら、アカウント開設・入金設定・KW作成・広告文作成・入稿作業と非常に多くの作業が発生し、掲載開始するだけでも非常に多くの時間がかかってしまうことかと思います。
代理店に任せればこういった作業は効率よく進めてもらうことができますから、自社で運用した場合にかかる試行錯誤のための時間を買うことができる。と言っても良いかもしれません。

メリット2:媒体社とのつながりが強い

代理店は多くの広告主の運用を請け負っていますから、必然的にGoogleやYahoo!といった媒体社への発注額は非常に大きな金額になります。
媒体社からみれば、広告代理店は非常に多くの発注を貰えるお得意先ですから、リリース前の新しいサービスの情報や、成果の出やすい運用施策などの事例、媒体の仕様変更などの情報などなど、優先的に有益な情報の提供を受けることができます。
また各代理店に媒体社の担当がついていますから、トラブルが発生した際なども、直接発注している場合より代理店経由の方が媒体社はしっかりとした対応を取ってもらえることが多い傾向にあります。

メリット3:自社の手間が省ける

外部にアウトソースするわけですから、当たり前ですね。
煩雑な運用業務を代理店にやってもらうことができます。
リスティング広告の運用業務は皆様が思っているよりも非常に煩雑で手間と時間がかかる業務です。
これをまとめて代理店にお願いできるのは、非常に大きなメリットです。

4:代理店運用のデメリット

インハウス運用を検討する広告主の多くは、代理店で運用する場合のデメリットについて、非常に気にしているのではないでしょうか。
ざっと思いつくポイントを挙げてみます。

[代理店運用のデメリット]
■手数料が高い
■自社の商品やサービスに関する知識や理解が少ない
■少額予算の場合や少ない手数料だと、しっかり運用してもらえない
■運用ノウハウが代理店側に貯まっていく

ここでポイントになるのは、手数料がかかることと、広告主の商品・サービスへの理解ではないでしょうか。

デメリット1:手数料がかかる

外部にアウトソースすることになりますから、そのためのコストはどうしても発生してしまいます。
多くの代理店では、「広告予算の◯%」という手数料の請求になりますから、予算が大きければ大きいほど、支払う手数料も高額になってしまいます。
他方で、広告予算が少ない場合は支払う手数料も少なくなりますが、その分代理店側のモチベーションが下がってしまい、しっかりと運用してくれないという問題が発生するケースもあります。
なお、発注側の事業主にとって、自社の広告予算が多いのか少ないのか、という点を評価するのは非常に難しい点かと思います。
この「予算の大きさ」ですが、それぞれの代理店の規模によって認識が変わります。

例えば大手代理店の場合、月額で数百万程度の案件は少額案件と認識されて新人教育用に扱われるか営業担当が片手間に運用されるケースが殆どですが、逆に中規模以下の代理店でしたら月額数百万円は優良案件として積極的に頑張ってくれる可能性が高いです。

デメリット2:自社商品・サービスへの理解に乏しい

この点は、事業主によっては非常に重要なポイントになるかもしれません。
一般的な消費財であれば、運用担当者も消費者のキモチが分かりますから、事業主が逐次フォローしてあげることで代理店の担当者に最低限の商品理解をしてもらうことができます。

しかし、扱う商品・サービスが馴染みのないものである場合や、そのマーケットが非常に特殊な場合に代理店の担当者が十分な理解を得るまでに非常に時間がかかりますし、覚えた頃には担当変更なんてこともありえます。
あるいは自社の経営ルール上、頻繁に報告をあげる必要がある、◯◯語で報告する必要がある、など特殊な事情がある場合、代理店ではなかなか対応しきれないケースも考えられます。

5:インハウス運用と代理店運用。結局どっちがいいの?

さて、これまでみてきたインハウス運用と代理店運用のメリット・デメリットですが、重要な論点となるのは、費用・ひと・時間・手間・運用ノウハウ・商品理解といった点において、それぞれの運用手法で有利不利が分かれる点であるかと思います。
そこで、それぞれの論点について、自社運用と代理店運用のどちらが良いのかを一覧で比較してみました。

インハウス運用と代理店運用の比較表

費用については手数料がかからない分だけ自社運用の方が安くなる可能性が高いようにみえますが、人員配置に伴うコストや試行錯誤を続けて成果が改善されるまでにかかるコストを想定すると、一概にインハウスのほうが安いとは言い切れないのではないでしょうか。
一方で自社商品についての理解は圧倒的にインハウスが有利です。
この点でレバレッジがかかりやすい、成果があがりやすいサービスを持っている広告主は自社運用のほうが成果があがりやすいといえるかもしれません。

こうして一覧で比較してみても、なかなか「こっちがお得」とは言い難いものがあります。
それぞれの広告主によって置かれている状況が異なりますから、それぞれのメリット・デメリットを考慮して検討する必要があります。
そこで、こんな場合はインハウス運用のほうが良い!という条件について、後ほどしっかりとご説明したいと思いますが、その前に、重要な問題点についてお話させていただきます。

6:インハウス運用の問題点|運用担当者のキャリアステップ

ここまで、それぞれのメリット・デメリットについて説明してきました。
これらを勘案した結果、インハウスの方が自社のメリットが大きい!となれば、自社のリスティングはインハウス運用とすべきだとなるわけですがその前に、ここで重要な点を指摘しておきたいと思います。
それは自社運用とした場合に、その運用担当者のキャリアは見えているか?という点です。
事業会社の宣伝部やマーケティング部、あるいはデジタル広告を得意としない代理店におけるリスティング広告担当というポストは、非常に微妙な立場になりがちです。
該当部門では、新聞・テレビなどの花形の広告媒体や、クリエイティブの制作・デザインといったわかりやすい業務も周辺領域として存在しています。

そんな中でリスティング広告の運用業務というのは、その他の業務よりも業務内容がわかりにくく、理解されにくい傾向にあります。
また企画や分析とともに、集計や入稿、入札といった“作業”にかける時間も非常に多くなります。
そのため、業務工程として比較的下流にあるという認識を持たれやすく、組織内で十分な評価を得られない場合があります。
その結果、せっかく十分なスキルを持つリスティング広告の経験者でも、その組織内ではモチベーションを維持し続けることができず、退職に至ってしまうというケースが考えられます。

このように運用担当者の評価や教育、キャリアステップが考えられていないことで、担当者の退職が相次ぎ、インハウス運用のプロジェクトが破綻してしまうケースを筆者はこれまで数例みてきました。運用ノウハウは、会社ではなく人に貯まるものですから、担当者が次から次へと辞めてしまってはいつまでたっても成果があがることはありません。

7:リスティング広告のインハウス運用に向いているケース

事業主ごとにそれぞれ異なる事情がありますから、一概に言い切ることは難しいのですが、ここでは思い切って、インハウス運用に向いている!といえる条件をいくつか挙げてみようと思います。

運用担当者を評価できる仕組みがある

インハウス運用の最も重要な問題点は運用担当者のキャリアステップが考えられておらず、十分な評価が受けられないため、モチベーションが維持できず退職に至ってしまうという点です。
インハウスで運用を行う場合は、この問題について十分な対策が立てられている必要があります。
リスティング広告の運用担当者を正当に評価し、その後のキャリアステップを見せてあげる仕組みが整っている。ということはインハウス運用成功の第一条件です。

リスティング広告の成果が事業の中核を担っている

リスティング広告経由の売上が自社の売上の多くのシェアを占めている場合や自社の事業において重要な要素である場合、リスティング広告の運用担当者は社内で十分な評価を得られやすいと考えられます。
またこういった企業の場合は、リスティング広告の運用に対して、社内の多くの資源を投下することができるはずです。
ここで想定しているのは、手数料を節約することが目的ではなく、代理店に支払う手数料よりも、多くのコストを自社運用のリソース確保のために投下することで、代理店が運用するよりも高い成果をあげることを想定しています。
良くも悪くも、代理店は手数料商売ですから、予算に応じた体制しか組むことができません。
しかし自社運用であれば、投下予算に関わらず、リスティング広告掲載そのもののリターンに応じた体制を組むことができます。

長期的に取り組むことができる

運用チームを十分機能させるには、非常に長い期間が必要になるのは前述のとおりです。
担当者が業務に習熟し、成果をあげていくまでには多くの試行錯誤と失敗がつきものです。
そういった問題に対して時間をかけて乗り越えることができるだけの覚悟が必要になってくることでしょう。
運用担当者を採用して、あとはよろしく!ではそのプロジェクトは失敗してしまいます。

極めて特殊な業種・業態・社内ルールがある

商品そのものやターゲットとしているマーケットが非常に特殊で、それらを理解するためにはしっかりとした学習と時間が必要になる場合、代理店の担当者を教育していくのはあまり効率が良くない場合があります。
例えば、海外向けに配信する広告や(特に英語、中国語、スペイン語などのメジャーな言語圏ではなく、よりマニアックな言語圏の場合など)、産業機械の特殊なデバイスなど、ユーザーがどういったキーワードで検索をし、どういった訴求に反応し、どういったポイントを比較するのか。他業界にいる人は理解が難しい場合です。
このように特殊なサービスやマーケットをターゲットとしている場合、代理店の担当者が十分な理解を持ちはじめてこれからという時に、担当者が変わってしまうなどのリスクも想定されます。
また、特殊な社内ルールがある場合、例えば報告資料を◯◯語で1営業日で提出すべし!など、代理店が対応できない特殊な社内ルールがある場合も、自社運用を検討すべきでしょう。

おまけ:予算規模が小さい場合

これはインハウスのほうが良い!というわけではなく、インハウスしか選択肢がない状況といえるかもしれません。
基本的に手数料は媒体費に20%を掛けた金額が一般的です。
仮に3万円を媒体費として使った場合、広告代理店の手数料は6000円となります。

さて、ここで想像してみてください。
貴方の会社のリスティング広告の運用では、どういったことをどれくらいやってほしいと思いますか?
そして、貴方が想像したやってほしいことは、6000円の金額で賄うことができる業務量でしょうか。
ということで、多くの代理店は少額の案件は受注しないか、あるいは固定費で数万円などの金額を請求されます。
こういった場合は自社で運用するしかそもそも選択肢がない!なんてこともありえます。

8:まとめ

リスティング広告のインハウス化について、それぞれのメリット・デメリットと、インハウス化に向いている広告主の条件についてご説明してきました。
インハウス運用も代理店運用もそれぞれ一長一短あり、一概にどちらが良いと言い切れません。

しかし先に書いたように、「代理店に支払う手数料の圧縮」だけを目的に安易にインハウス化を推進すると、失敗してしまう可能性が高いといえます。
特に運用を担当する従業員のキャリアについては、インハウス運用の主たる問題点であると筆者は考えています。
そんな中でもインハウス運用に向いているケースもありますから、自社の状況を鑑み十分検討した上で判断してください。
迷ったときはぜひ我々に相談してくださいね。

それでは、本記事であなたが最良の選択をして、今以上の成果をあげられることを願いつつ締めさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!